続・加藤の乱

メンヘラ格闘家

最近聞いた音楽とか

星野源「アイデア

 

デイリー史上最高売り上げを記録とかMVが500万再生だとか、星野源初の一斉配信だとか、記録や話題の面でも力を発揮したのがこの曲、iTuneの評価を見ると評価5が大半と少量の評価1で構成されており、中間がない、このことからもファンの購入が記録を大幅に伸ばしたということは明らかなのだが、それほどファンの心を掴む曲であったということはよくわかる。

 

星野源の作曲におけるテーマの一つに「音楽で世界を変えることはできなくても、つらい時や楽しい時に聞いて人の心を動かす作品を作りたい」というものがあると思う、これは僕が本人のラジオや書籍を読んで感じたことの感想である。

 

そして今回配信された「アイデア」は、その本人の核心的なテーマそのものというべき曲であると思っている、歌詞の内容は一言に纏めてしまえば「つらい時や楽しい時に、僕の曲があなたのそばに寄り添おう」という意味だと思う、その曲のことを「アイデア」と暗喩的な表現をしているのではないか。

 

「つらい時や楽しい時に、僕の曲があなたのそばによりそう」という言葉は、ある程度親密である人間にとっては深く心に入るだろう、逆に言えば、関係の薄い人間からしたら白々しさや薄ら寒さを感じる言葉であり、距離だと思う。そしてこの曲は、本人が公言してるように、暗い人が置いてけぼりにならないような構成にもなっている、どんな気分のファンでも聞けるという配慮がされている。

 

だからこそこの曲はファンの心を掴む曲であり、今まで星野源を聞いてきた人であればこそ「これこそ星野源だ」と言えるような曲なのではないか。

 

the peggies遠距離恋愛」(『super boy ! super girl !!』に収録)

 

そういえば僕は、遠距離恋愛をテーマにした曲はあまり聞いたことがない気がする、記憶に残ってないのか知らないが、僕は少なくとも覚えはない。この曲は「何か新しいアーティストを聴きたい」と物色していたところに偶然このアーティストを見つけ、タイトルが「遠距離恋愛」だったから視聴したことで出会った曲であり、アルバムだ。

 

これは万人が共感できる曲ではないが、僕自身遠距離恋愛なので、この曲の感覚には100%共感できる、お互い真剣に相手のことを思ってるなら歌詞の全てが、自分の経験とリンクするのではないか、と思わせるぐらい、遠距離恋愛の楽しさと苦しさを余すところなく汲み取っている。

 

恋愛をテーマにした曲はいくらでもある、それはしばし、アーティスティックな感傷に浸るための、作曲者のナルシズムの表れであることも多い。だがこの曲は、本人の経験から離れ、ナルシズムが生み出した自己の像も現れることもない、まさに遠距離恋愛のせつなさや幸福をそのまま提供するような曲だ、とにかくよく書けている曲だと思う、〈等身大〉(=誇張も虚飾もない、ありのままの姿)というのは使い古された言葉だが、はまさにこのことを言うのだろう。

 

なの小夕子「経済の夜明け」~「クリームシチュー」(『結婚』に収録)

 

新譜『結婚』の楽曲は全てよかった。

なの小夕子の楽曲はいい意味であまり作りこまれた感じがない、メジャーの中のメジャーばかり聴いてる人であれば、チープだと感じる音の作りや音圧であることは確かだと思うが、下手になりすぎない絶妙なラインを突くところや、平成後期の中に昭和や平成初期の音楽の残滓を感じるような、ある種の懐かしさを含んだ楽曲がツボに入る人は多いと思う。

 

個人的には、なの小夕子の楽曲は「なの小夕子本人が作っている」という〈個人〉を強く感じさせるものであり、大御所と比べればチープな編集であっても「本人が作りたいものを作り、伝えたい感情を伝えている」ということを強く感じることができるし、このような楽曲は、「この空の下にいるひとつの人生が、大勢ではないが細々と感情を音楽に載せて伝え、人の心を動かしている」という人間愛を感じることができるから好きなアーティストである。

 

昔友人に聞かせたら「大森靖子みたい」とカスみたいなことを言われたが(大森靖子はまあまあ好きだが)、大森靖子より相当落ち着いているし、大森靖子は非常に女性的な感情の吐露であることが多いが、なの小夕子は男女どちらかに限定されるような表現は少なく、繊細な楽曲が多いはずなんだけどな…(わかる人にしかイマイチ理解できない歌詞という点では一致してる部分はあるが)

 

ニガミ17才「化けるレコード」

 

これはyoutubeのMVでしか聴いたことがなく、アルバムはまだ買ってない、僕が高校生だったころに嘘つきバービーが流行っていて、僕も大好きだった、(当然音楽好きの中での話だけど)その嘘つきバービー岩下がこういう形で戻ってくるというのはすごく感慨深かったのを「ニガミ17才」の結成当時はそう思っていたのをよく覚えている。

 

ニガミ17才の「化けるレコード」はインタビューを見る限り割と「身も蓋もない」というべき曲なのだが、それは嘘つきバービーのころから一貫してると思う、僕は昔、そういう表現する裏に意図や主張がないというのが嫌いだったんだけど、今はそういう曲でも普通に聞いている、どんな曲でも背後に〈意味〉や〈背景〉を読み取れるという心境の変化があったからかもしれない。